Re:はてブ引退にあたって、はてなスターを稼ぐ方法全部書く

はてなハイクに書き込んだのだが、今日でサービス終了なので単純コピペで転載しておく(これより前のハイク書き込みログは一応保存した)。トラバとかIDトラバとか飛んじゃいそうだけど知らない。

http://kido-ari.hatenablog.com/entry/2019/03/07/172525
↑標題のこれについて。

増田に対するブコメに限らず、はてブ全般でブコメに☆をたくさんもらう方法についてのエントリとして読んだ。
正直、増田と増田以外でブコメの書き方を変えたりもしていないし、増田のトップページや新着ブクマに張り付くようなこともしていないので。

> ◎過激な政治的コメント
> 政治関係のエントリに、左右どちらかの極端なコメントをすると、スターがもらいやすい。 
> どちらかというと、左寄りのほうがスターをもらいやすそうだが、右寄りも、はてなでは少数派な分、スターが集中しやすいというメリットがありそうだ。
> 過激になればなるほど、まともな人からは非表示にされやすいので、この道に一度入ってしまったが最後、後戻りはできないであろう。
> 私は、この手段はとっていなかったので、詳しくは知らない。

私のことをこれだと思っている人が多いだろう。
しかし、そもそも私の思想は過激なものではない(むしろ左翼の人達の中にいたら、「日和見主義者」として石礫が降ってくるようなレベル)し、その時の話題に合わせて、起こっている事象とか、ブコメ欄の空気よりやや「左寄り」の見解を対置しているだけのことがほとんどである。
そういう訳で、自分ではさっぱり過激さが足りないと思っているのだが、私のブコメのここが過激だと思う人は例を教えて欲しい。参考にします。

それにしても、最近のはてブだと右寄りの人の方が多くない?人気ブコメ10件全部とか、ほとんどを右なブコメが占めているブコメ欄とか結構見るけど?

> ◎スターください・スターこわい
> ストレートに「スターください」と書く。 もしくは、「まんじゅうこわい」的に「スターこわい」と書く。 
> いわゆる「スター配布会場」となったブコメ欄において、容易にスターが大量にもらえる方法である。
> 「誕生日なのでスターください」、「付いたスターの数だけ〇〇する」などの派生版もある。 
> あまりにも簡単なので、私はほとんどやっていない。 

私も多分やったことはない。
ただ、スター配布会場となっているブコメ欄にそれと知りつつブコメしたことはあるので、厳しく見ればそれが「スターください」行為に該当するかもしれない。

> ◎印象的な一文や結論部分を引用する
> これでスターをもらいすぎると、他人のふんどし感があって、ちょっと居心地が悪い。
> 例:「自由に書くのがおれのインターネットだ。」ここ好き(図書館で借りたあと買いなおした絵本5選)

これはよくやる。最近は無言ブクマや一言ブクマが大半を占める私のブクマだが、ガッツリコメントしていた時代は半分ぐらいが引用中心のコメントだったのではないか。
完全に引用だけのブコメで☆がもらえたり、あまつさえ人気ブコメ入りすることもある。そういうときは、引用が的確だったのだろうと思うので居心地悪さはない。

> ◎的確で真面目なコメントを書く

何だかんだで、これで☆がもらえたり人気ブコメ入りしたりした(と自分から見て思える)パターンが一番うれしいと言えよう。

> ◎お気に入られを増やす
> 獲得スターの数は、①当該コメントを1人のはてなーが見たときにスターを押す確率 × ②当該コメントを見たはてなーの数 になる。
> 面白いコメントをすれば、①が上がる一方で、お気に入られを増やせば②の数を上げることができる。
> (しかも、お気に入りにしてくれる人とは、センスが似ており、スターを押してくれる可能性も、はてなー一般よりは高い場合がある。)
> お気に入られを増やす方法?
> えーっと、スターがもらえるような面白いコメントを書き続けるとか…。

おっしゃる通りの理由でこれは有効だし、正直今私がもらっている☆の大部分がお気に入り経由(つまり常連が大半)だと思う(数値的な検証は面倒なのでしない)。
お気に入られは(著名人を除けば)活動期間の長さやブコメ頻度(特に、人気ブコメ頻度)の高さに比例して単調増加する(経験上)はず。(ただし、お気にいられに占めるアクティブユーザの割合は長くやっていればいるほど減少するが。)

ただ、最近人気ブコメ欄で多量の☆を集めている(「過激な政治的コメント」などで悪目立ちしている)人のブクマページに行くと、それなりの活動期間やブクマ件数があるようなのにお気に入られは10~30くらい、というケースを割とよく見かける。
ホテントリや人気ブコメ欄を中心にしたブコメチェックが定着してきて、お気に入り中心にブクマやブコメを見る人が増えなくなっているのかもしれない。
つまり、私が経験上思っているほど、またkido-ariさんの理論ほど、お気にいられは☆獲得に効果を発揮していないのが現状なのかもしれない。

> ◎早く書く
> よく言われることだが、早期にコメントした方が圧倒的に有利である。
> たくさんブクマがついている場合、全てのコメントを読まずに人気コメントだけ読む人も多いだろう。
> 早期にコメントして人気コメントになったブコメに対し、あとから巻き返すのは簡単ではない。
> また、定番ネタは早い者勝ち的な側面もある。
> ただし、定番ネタを素早くコメントする行為と、あとから人気コメントを上回るべくネタを練る行為とは、100m走とマラソンとの関係に似ている。
> 必要な能力の一部は共通しているが、どちらにも、それぞれ別の楽しみがあるのだ。

私に関していえば、昔id:anotherさんに「スローブックマーカー」と名付けられて以来、ブクマするのが一貫して遅い(大体、あらかたのブクマやブコメが集まってからブコメする)。大昔「Hatebu Friends」という、自分より早くブクマすることが多いユーザ、自分の後でブクマすることが多いユーザを一覧にしてくれるWebサービスがあったのだが、その頃、私より遅いのはid:zu2さんぐらいだった。

それでも、以前のはてブであれば新しい(遅い)ブコメから上に表示されるので、インパクトのあるブコメを書けば遅いブコメもそれなりに目立つことができ、☆が伸びることも少なくなく、また自分のブコメをきっかけにブコメの流れが変わることも「稀によくある」程度にはあった。
人気ブコメ欄ができてからはこうした形勢逆転は相当ハードルが高くなったのではないか。ただ、それでも遅くつけたブコメで人気ブコメ欄に割って入ることがたまにはあり、そういうときは「真面目なブコメで☆をもらった」「的確な引用で☆をもらった」の次ぐらいにはうれしい。

> ◎短くする
> ダラダラ書くよりは短い方が良い。
> 面白さは足し算にならないのだから、不思議なものだ。
> おああーーーっや俺だった!は長文?
> それらは天才の所業であって、凡人は真似してはいけない。

近年は無言ブクマがほとんどなことに表れているようにやる気がないので、一言で済ませるブコメも増えている。実際、(特に次項の早いタイミングでのブクマのケースなど)☆は短いブコメの方がつきやすいと思う。100字みっちり書いた場合、そこに有益な情報が含まれているケースも増える一方、賛同できない部分も増えるはずなので当然だろう。
(と、このコメントは短くしようと思ったのに結局ダラダラ書いた。)

> ◎ダジャレを書く
> みんな大好きダジャレブコメ
> ダジャレは誰も傷つけない。
> できるだけ、元記事の内容に関連し、かつ、新規性のあるものが望ましい。
> 単純に元記事の文中に出てくる単語でダジャレを作るよりも、少し捻った方が良い。
> 単純なダジャレでは早い者勝ちになってしまうおそれもあるし、捻った方が少し高尚に聞こえる(気がする)。
> 捻り方としては、言い換える、上位の概念を使う、外国語にする、などがある。

具体例に面白いのが多かったけど引用省略。
地口や駄洒落のセンスがないのは自分でよくわかっているので(ツイッターなどのような脊髄反射的・刹那的なメディアではたまにやるが)ブコメではほとんどやったことない筈。

> ◎謎かけ・「AとA'の違い」などの言葉遊びをする
> ダジャレに限らず、はてなーには言葉遊びが好きな人も多い。
> 年齢層が高めだから、というのもあるかもしれないが、言葉に関する増田のブクマが伸びやすいあたり、言葉の妙みたいなものが好きな人が多いのかもしれない。
> 完全一致なら謎かけ、部分一致ならダジャレ、韻を踏んでいるだけならAとA'の違いができる。

具体例引用省略。
これも私はセンスがないのでやっていない。
センスがないなら磨けばいいじゃないかと思う人も多いだろうが、苦手を回避することで40ウン年生きてきた人間だもんで。

> ◎逆にする
> ◎世にも奇妙な物語みたいにする
> ◎考えオチにする
> ◎乗っかる
> ◎拡張・応用・敷衍する

この辺、笑いのネタ出し手法講座のようになっていて興味深いが、私の場合、どれもそれほど意識してやったことはない。これで☆が伸びたこともあまりない。
まぁ、言葉遊びに限らず笑いのセンスや素養自体がないことが改めてよくわかった。

> ◎あまのじゃくになる
> 増田が疑問を呈しているような行為をあえてする。
> 特に増田の態度が悪いか、強めのときは効果的である。
> 場合によっては、単なる嫌がらせになってしまうので、要注意。
> 例:"分から""ないのか""?""やつ""ら""が""ブコメ""引用""星""人""なの""だ"(ブコメにただ本文の一部を引用してる人って何なの?)
> このたびは、貴重なご意見をお寄せいただき、誠にありがとうございました。お客様のご意見につきましては、今後の課題として検討させていただきます。今後とも弊社をご愛顧賜りますようよろしくお願い申し上げます。(思考停止したマニュアル通りの接客、やめろ)

これは笑いを取りにいくというより揶揄や皮肉のたぐいとして、たまにやっていると思う。
# この書き込み全体に言えるのだが、自分の過去ブコメを探索することもせず印象論だけでやっているので、読んだ人は「kyo_juのブコメでこういう具体例があった」というのをお調べいただけると有難い(他力本願)

> ◎懐かしいネタを書く
> 年齢層が高いともいわれるはてな
> 少し古めのネタはウケが良い。

古いネタを書くことはあるけど、自分の趣味的に「古くてポピュラリティがあるネタ」ではなく「古くてややマニアックなネタ」(例;谷山浩子とか、小山田いくとか、時代は飛ぶがココロ図書館とか)であることが多いので、☆を多くもらえた記憶はない。
ただ、意外な人から☆をもらえて「繋がった…!」感が生まれたことはある。

> ◎アイコンを利用する

私の場合、「マンガの好きなキャラクター(のはてなユーザによる二次創作絵)」で「ID名とのダブルミーニング」ということもあり、ネタとして使うことを意識したものではないのでこれをやったことはほぼないのでは。
「こんなID名なので」も使える場面が少ない。

> ◎非リア充的コメントをする
> 共感なのか憐憫なのか、非リア的ブコメはウケやすい。
> 自分を偽る必要はないが、自分の中の非リア的部分を全面に出すのだ。
> 逆に、光属性全開のブコメで、闇属性たちを滅ぼしにかかる方法もある。

ネタを意識しなくても、自分語りをすると非リア的になるので、特に昔になればなるほどこのパターンのブコメは多かったと思う。逆に最近は少ない筈。
なぜ減ったかといえば、「はてサ」ウォッチャーやその他私をpublic enemy的にあげつらいがちな連中に餌を与えたくないという意識が働くのと、Twitterなどで連続的に自分語りネタをしたときにエアリプその他で辛辣な反応をもらったことが何度かあり、無意識にブレーキが働くようになったのがあると思う。
思うように自己憐憫的な自分語りを晒す場がないことは自分にとっては結構ストレスなので、何かで爆発したり、心を病んだりする原因になりはしないか自分で心配している。

> ◎才能で殴る
> 私は、どちらかというと、理詰めやパターン、同音異義語の総当たり的にブコメを考えているが、才能がある人なら、才能のままに書くだけで良い。
> 「おああーーーっ」や「俺だった!」はきっとそうだし、ディスコミュニケーション妖怪やカーブミラーもその類に見える。
> 現実は非情である。

上に挙がっている「ダジャレ」以下「拡張・応用・敷衍」までのネタ系については、才能なのか努力で磨き上げたのか、傍目からはわからない。

ただ、才能と努力以外の第三要素として「芸風で殴る」というのはあると思う。このネタならこの人がこうブコメしてくるだろう…と思っていたところに(召喚までされているケースもあるが)やっぱりキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!となるパターンは☆を稼ぎやすいだろう。私のブコメも、別にネタを意識していなくても芸風で殴っている面はなきにしもあらずだと思う。

> ◎よく分からないことを書く

こういう「電波を受信」系のネタを書くのにははてなハイクが向いていると思っていたのだが、寂れてしまい閉鎖へと至ったのは残念である。

以上、はてなハイクに話が繋がったところで締める。

 

Mukkeさん、人の言動の差別性を非難する文脈でそのタグはどうなんですか

はてなダイアリーのタグって、はてブされたときのエントリ題としては通常表示されないし、デザインによってはあまり目立たないような表示になることもあるので、日頃あまり注目されませんよね。そもそも、古参の方は別として、あまりタグを活用してダイアリの整理をされている方というのも見かけなくなってきた気もします。
そんなわけで、私も下記のタグにはこれまで気付いてなかったんですが…

デムパ - Danas je lep dan.

bogus-simotukareさんとの議論を決着させるには、まずこれまでのあらすじを振り返らないとなぁ…と思ってMukkeさんの記事

皆さん,これがレイシズムです(追記あり) - Danas je lep dan.

を眺めていて、この記事に「デムパ」というタグが付されていることに気が付きました。

私の認識では、「デムパ」とはネットスラングで、「『毒電波』に冒されている(ある種の精神疾患の一症状としての幻覚・妄想によってそのように主張する)人物ないし言動、または傍から見てそうとしか思われないような人物ないし言動」、ようは「キチガイ」と言われるような「精神障碍者」をさして使われる言葉だと思います。

また、エントリ本文の記述から判断する限り、ここで「デムパ」とは、エントリで言及されているbogus-simotukareさんの言動やその人自身のことでしょう。

このエントリでMukkeさんは、ダライ・ラマ14世らの特定の言動が日本の歴史修正主義運動やカルト教団に加担するものであったことを理由にチベット民族、チベット人民全体を蔑視するbogus-simotukareさんの一連の言動と、その裏にある思考法の誤りを批判し、そのレイシズム、民族差別としての加害性を非難しているわけですが、その結論として、bogus-simotukareさん(あるいはその言動)は「デムパ」であると評価してこのタグ付けに至ったのであれば、そのこともまた、次の点で差別性をもつのではないでしょうか。

  • ある誤った思考法やその結果としての加害的な言動、またそうした言動の主を「精神疾患の症状」だとか「精神障碍者」をさす言葉でカテゴライズすることは、精神疾患や精神障碍を「誤った思考法」だとか「加害的な言動」などと同一視する認識を表明し流布させる(あるいは少なくとも、そうした認識を助長する)ことになるのではないか。

また、差別というのとはまた少し違いますが、議論相手の誤った思考法や加害的な言動について、それが「デムパ」の所産であるとみなすことは、「相手が議論の経過を通じてその誤りを正す可能性の否定」という意味で議論自体の否定にもなりますし、また相手の主体性やそれゆえの責任を免除することにもなってしまうと思います。

しかも、それをわざわざ(タグというややわかりづらい形で)表明することで「あいつなんか対等に議論してやる価値のない相手なんだぞ」という一種の勝利宣言にもなってしまっており、あまり美しくもないのではないでしょうか。(なんだか、福耳先生の「竹田さん」タグの一件を思い出してしまうんですよね。)

取り急ぎ。

「都知事選の年代別主要候補別得票数を推定」の結果をグラフにしてくれた人が登場

13日に上げた「都知事選の年代別主要候補別得票数を推定してみた」のエントリ、ややアウトオブデイトな話題だったせいか(田母神候補についてだけとはいえ、古谷経衡氏が*1似たような手法による分析を発表してもいて二番煎じもいいところでしたし)正直いつも以上にブクマは伸びませんでしたが、元のグラフを作成されたid:joe0212さん(はてなダイアリーをやっていらっしゃるとはお見それしました)、ブコメで反応後私の行った年代別投票率の推定の妥当性などについてダイアリで言及して下さったid:houyhnhmさんなどから反応をいただきました。ありがとうございました。

で、今日になって気付いたのですが、エントリ末尾で

えっ、この推定結果を上で引用したグラフと見比べられるようにちゃんとグラフにしろって?めんどうくさいので誰かやってくださいです。。。

などと書いたところ、本当にグラフにして上げてくださる方が現れました(ただし、前エントリの「例1」の方だけですが)。ありがとうございます。

kyo_juさんによる都知事選の年代別得票数http://d.hatena.ne.jp/kyo_ju/20140213/p1…をグラフにしてみたので勝手に上げておきます

70歳代以上の有権者数が200万のラインを越してしまっているなど、ちょっと微妙なところもありますが、せっかくなのでjoe0212さんのグラフと見比べられるよう、並べて上げてみます。

【グラフ1:TBSの出口調査データ(主要候補者別の年代別得票構成)に基づくjoe0212さん作成のグラフ】

【グラフ2:朝日新聞出口調査データ(年代別の主要候補得票率)と過去の年代別投票行動調査結果(都選管調べ)から外挿した年代別推定投票率による私の推計結果に基づく@heartfieldさん作成のグラフ】

そんじゃーね。

*1:極右陣営内部を引き締めるつもりなのか、「若者の右傾化」への警戒が広がると不利だと感じたのか知りませんが

都知事選の年代別主要候補別得票数を推定してみた

先日の都知事選の出口調査結果から、極右勢力*1を代表する田母神俊雄候補が若年層で相対的に多数の票を得たという話があり(たとえば朝日新聞の「舛添氏、高齢層から圧倒的な支持 都知事選出口調査分析」という記事)、ネット上でよく観察されるような「若者の右傾化」の広がりを客観的に裏付ける事実として危惧する声があるようです。

それに対する反証の提示として、Twitterでjoe0212tさんという方が得票「率」ではよくわからないので得票「数」をグラフ化。棒の長さは有権者数。改めて若い世代の投票率の低さを知る(灰色部にはその他候補の票も入ってるけど多くはないだろう)。20代の田母神氏への票数も騒がれるほどではないとつぶやきながら、下のようなグラフを提示されていました。

この反証やjoe0212tさんの意見には賛否それぞれの反応があるようですが、私としては、直感的に
「あれ?これ若年層(特に20代)の投票率を低く見積もりすぎてるんじゃね?」
と思ったので、このエントリで検証してみようと思った次第です。

まず年代別有権者

これについては、jou0212tさんのおっしゃる「年代別の有権者数は、東京都が公開している住民数のうちの日本人数を年代ごとに算出し、近似値としました。」 というのでほぼ妥当でしょう。

実際に数字を挙げると次のようになります。

年代 推定有権者
(人)
20代  1,544,886
30代  2,073,830
40代  2,054,057
50代  1,454,188
60代  1,613,237
70代以上  1,980,748
全体  10,720,946

日本全体の年代別人口構成と較べると結構偏りがある感じがしますが、それは本題と関係ないのでおいておきます。
この数字は、情報ソースが同じはずなので当然ですが、上のグラフとほぼ一致しているようです。

次に年代別投票率の推測

今回の都知事選の年代別投票率の調査結果はまだ発表されていませんが、都選管のホームページでは過去3回の都知事選の年代別投票率が報告されています。このデータと今回の全体投票率(46.14%)を基に、何らかの仮定によって今回の年代別投票率を外挿することは可能でしょう。*2

(例1)過去3回の全体投票率に対する年代別投票率の比を使って、今回都知事選の年代別投票率を外挿

年代 2012
(%)
2011
(%)
2007
(%)
今回
推定
(%)

推定
20代 44.64 0.71 39.16 0.68 33.45 0.62 30.85 0.67
30代 55.14 0.88 51.07 0.88 45.25 0.83 39.94 0.87
40代 63.34 1.01 57.79 1.00 54.71 1.01 46.42 1.01
50代 70.26 1.12 64.22 1.11 62.42 1.15 52.01 1.13
60代 75.15 1.20 69.70 1.21 72.93 1.34 57.65 1.25
70代以上 67.63 1.08 64.65 1.12 66.15 1.22 52.54 1.14
全体 62.60   57.80   54.35   46.14  

(例2)過去3回の全体投票率に対する年代別投票率の差を使って、今回都知事選の年代別投票率を外挿

年代 2012
(%)
2011
(%)
2007
(%)
今回
推定
(%)

推定
20代 44.64 17.96 39.16 18.64 33.45 20.90 26.97 19.17
30代 55.14 7.46 51.07 6.73 45.25 9.10 38.38 7.76
40代 63.34 -0.74 57.79 0.01 54.71 -0.36 46.50 -0.36
50代 70.26 -7.66 64.22 -6.42 62.42 -8.07 53.52 -7.38
60代 75.15 -12.55 69.70 -11.90 72.93 -18.58 60.48 -14.34
70代以上 67.63 -5.03 64.65 -6.85 66.15 -11.80 54.03 -7.89
全体 62.60   57.80   54.35   46.14  

*3これらをさきほどの年代別有権者数に当てはめて年代別の推定投票者数を出すと、

(年代別推定投票率を例1によった場合)

年代 推定有権者
(人)
推定
投票
率(%)
推定投票
者数(人)
20代 1,544,886 30.85  476,648
30代 2,073,830 39.94  828,314
40代 2,054,057 46.42  953,514
50代 1,454,188 52.01  756,380
60代 1,613,237 57.65  929,993
70代以上 1,980,748 52.54 1,040,639
全体 10,720,946 46.50 4,985,488

(年代別推定投票率を例2によった場合)

年代 推定有権者
(人)
推定
投票
率(%)
推定投票
者数(人)
20代 1,544,886 26.97  416,707
30代 2,073,830 38.38  795,867
40代 2,054,057 46.50  955,205
50代 1,454,188 53.52  778,330
60代 1,613,237 60.48  975,740
70代以上 1,980,748 54.03 1,070,264
全体 10,720,946 46.56 4,992,113

となり、実際の全体投票率及び全体投票者数とそう違わない数字になりました。*4

主要4候補の年代別得票数を推測

あとは冒頭の朝日新聞出口調査データに掛け合わせるだけで完成です。このようになりました。*5

(例1によった場合(投票率低下の年代別構成要素を、全年代比較的均等とみた場合))

年代 田母神氏 舛添氏 細川氏 宇都宮氏
20代  114,395  171,593  52,431  90,563
30代  140,813  314,759  124,247  173,946
40代  133,492  381,406  200,238  171,633
50代  83,202  332,807  158,840  151,276
60代  65,099  437,097  213,898  204,598
70代以上  62,438  572,352  187,315  208,128
全体  599,440 2,210,014  936,970 1,000,144

(例2によった場合(投票率低下の年代別構成要素を、比較的若年層に多めに振った場合))

年代 田母神氏 舛添氏 細川氏 宇都宮氏
20代  100,010  150,015  45,838  79,174
30代  135,297  302,429  119,380  167,132
40代  133,729  382,082  200,593  171,937
50代  85,616  342,465  163,449  155,666
60代  68,302  458,598  224,420  214,663
70代以上  64,216  588,645  192,648  214,053
全体  587,170 2,224,234  946,328 1,002,625

もともとサンプル調査である出口調査のデータを使った上、このエントリ上で年代別投票率などの推定を重ねて出した数字ですので当然実際の得票数とは一致しないわけですが、といって大きな乖離がある訳でもありません。年代別にだいたいこれぐらいの極右、保守、リベラル、左翼の有権者がいるのだなぁ、などと思いながら眺めるにはこんなもので充分かなぁと思ってアップしてみます。

えっ、この推定結果を上で引用したグラフと見比べられるようにちゃんとグラフにしろって?面倒くさいので誰かやってください。


(追記)
2014年3月31日に東京都選挙管理委員会が発表した「年代別投票調査結果の概要」によると、実際の年代別投票率は次のとおりでした。

年代 実際の
投票率(%)
例1の
推定(%)
例2の
推定(%)
20代 27.92 30.85 26.97
30代 39.83 39.94 38.38
40代 45.74 46.42 46.50
50代 52.03 52.01 53.52
60代 59.31 57.65 60.48
70代以上 51.66 52.54 54.03
全体 46.14 46.14 46.14

例1(過去3回の都知事選の全体投票率と年代別投票率の「比」の平均)と例2(同じく「差」の平均)、どちらの推測値がより実際の値に近かったかというと、まず例2(「差」の平均)は、投票率の相対的に高い年代(50代以上)で投票率を実際の値より高く見積もり、投票率の相対的に低い年代(30代以下)では逆に実際より低く見積もる結果となりました。次に例1(「比」の平均)は、30代〜50代でほぼ実際の値に近い数字を推測することができていましたが、20代の投票率は過大に、逆に60代以上は過小に見積もる結果となりました。

その点からは、2014年都知事選での年代別の投票行動は、過去3回の傾向から単純に外挿できるものではなかったといえそうです。
年代別にみると、30代は過去の傾向よりはやや健闘、60代は過去の傾向どおり、20代、40代、50代、70代はやや動きが鈍かったといえそうです。といっても、どの年代も1〜3ポイント程度の動きでしかありませんが。

*1:まぁ、近年の日本の保守勢力は欧米でいえばおおむね極右勢力に相当するという話もありますが

*2:ここではごく簡単な(統計学的な妥当性にとらわれない)やり方で外挿してますが、多数回の選挙のデータなどから全体投票率の増減と年代別投票率の増減に固有の傾向性が確認できるのであれば、その傾向性を反映できるやり方をとる必要があるでしょう。

*3:「今回推定(%)」の列に入っている数字は、例1の場合今回の全体投票率に過去3回の比の平均を掛け合わせたもの、例?の場合今回の全体投票率から過去3回の差の平均を引いたものです。ただし、「全体」の行に入っているのは実際の全体投票率です。

*4:ここで「推定投票率」の「全体」の欄に入っているのは、年代別の推定投票者数を足し合わせた合計を全体の推定有権者数で割ったパーセンテージです。

*5:他の表もそうですが、Excelで計算して端数処理をしないまま貼りつけているため、年代別を足しても合計の数字とは一致しません

bogus-simotukareさんへの質問

「いつもどおりid:noharra氏に突っ込む(8/30分)(追記・訂正あり)」というエントリに関連して、id:bogus-simotukareさんにいくつかお尋ねします。
(なお、このエントリ自体は延々と追記がなされ、コメント欄や他のブログでも言及が続いており、そこでの論点も多岐にわたっているので、まだまだ質問したい事項や私の考えを表明しておきたい事項があり、そのうち適宜追加質問や追加エントリを上げさせてもらうことになると思いますので関係者の方は予めご承知おきください。
また、Mukkeさんの私に対する要求の回答についてはさらにそのあとに予定しています。)

エントリの形式について

追記が積み重なって、ほとんどエントリ題と関係ないような内容になっていますが、エントリを分けた方がよいのではないでしょうか?
また、エントリの日付が2013年8月30日となっており、エントリ題にも「8/30分」とあるので、元々はその頃のnoharraさんの発言に対する批判なり応答のエントリで、そこに追記を積み重ねているうちに本題から離れてきたのかな…と思っていましたが、改めて冒頭から読んでみたら、いきなり11月のMukkeさんのエントリに対するnoharraさんのコメントから話が始まっていて大いに面喰らいました。
ブログの冒頭に常時載せておきたいエントリを未来日付にしたり、ブログ全体の流れと関係ないメモ的なエントリを過去日付にしたりという手法があるのは承知していますが、このエントリについてはそういう趣旨であえて日付を操作しているわけでもなさそうなので、意図が不明です。
特別な理由がなければ、書いた日や公開した日をエントリの日付にした方が、読む側が混乱しないですみ、よいのではないでしょうか?
逆に、あえて過去エントリへの追記の形で延々と書き続けることに何か合理的な理由があるようなら、それもお聞きしたいです。

はてブにおける「またチベットか」「チベットいらない子」「低能民族チベット」などの表現について

多くの人から「bogus-simotukareさんがレイシストである動かぬ証拠」のように捉えられたこれらのはてブタグの表現について、このエントリでの見解は

「オウムから金もらったり、安倍におべっか言ったりするダライラマ」や「反中国デマ怪文書流したり、日本ウヨに媚びるために河野談話否定論支持を表明したりするペマギャルボ」に向かっ腹が立ったのでついそういうタグを使っちまいましたが、今では「ちょっと乱暴すぎたかな」と思ってる。しかし、オウムからダライが金もらったり、安倍に醜いおべっか言ったり、ペマが反中国デマ怪文書流したり、チベット関係者が愚行の限りを犯してるのにチベットに反感持てない方がすごいよな

とのことで、「言い過ぎた」「誤解を招いた」的な認識でおられるようなので、基本的な認識についていくつかお聞きしたいと思います。
bogus-simotukareさんは、ダライ・ラマ氏やペマ・ギャルボ氏の人格や言動を、チベット国家やチベット民族そのものと同視されているのでしょうか?
特にダライ・ラマ氏とチベット国家やチベット民族を同視するのだとすれば、それはbogus-simotukareさんが絶対主義的な君主制をよしとするような論者で、君主は国家そのものであり、民族そのものだと主張なさるのでもない限り、非常に問題がある見方だと思います。政治・宗教指導者とはいえ特定の一人物のいくつかの言動にすぎないものを論拠に、チベット人民すべての属性を決めつけることになるからです。これは、チベット人民を貶めることになると思います。「ちょっと乱暴」ですむものではないと思いますが、いかがでしょうか?
また、上に挙がっているようなことは確かに非難に値することかもしれませんが、「チベット関係者」が「愚行の限りを犯してる」というためには、チベット関係者による他の「愚行」の例や、それが彼(女)らの恒常的な行いであることを示す論拠が必要になるのではないでしょうか?
さらにお聞きしますが、一定の集団を「いらない子」だとか「低能」だと言える根拠が実際にあったとしても(今回の場合は以上述べたとおり、無いと思いますが)、民族のような個人の自由意思では選択できない属性によって形成されている集団(特に、現に社会的・政治的に少数派であったり、抑圧されていたりする集団)についてそのように呼ぶのは、差別である(従って、「根が小心者だから無意識的に言うのを避ける」とか、「誤解を招かないようにする」というレベルではなく、意識的にそのような態度自体を自ら正していくべきものである)という認識はありますでしょうか?

「差別者と付き合いのある奴は差別者」という認識について

このエントリでのnoharraさんに対するコメントで、bogus-simotukareさんは、

お前の入ってる守る会の副代表・三浦の方が「チャンネル櫻とつきあうわ」「河野談話否定するわ」よほどレイシストだろ(…)お前ごときレイシストレイシスト呼ばわりされるいわれはねえよ。ふざけんな、レイシスト(三浦のこと)の同類

と、レイシストと付き合いがある人間はレイシストの同類であり、レイシストそのものでもある、という見方を示されているように思えます。
私としては、その人が差別者であるかどうかはその人自身の差別的な認識や言動の有無によって判断されるのが原則であり、差別者と付き合ってるからお前も差別者だ、という認識は妥当なものではないと思うのですが、どう思われますでしょうか。

とりあえず以上です。取り急ぎ。
(なお、引用部分は長くならないよう、文意をゆがめない範囲でかっこ書きなど適宜省略しました。)

衆議院の小選挙区定数是正が「0増5減」では論外な件について

2011年3月23日最高裁判決を考慮すると、衆議院の総選挙を行うためにはまずそれ以前に当該判決で「違憲状態」と指摘されている小選挙区間での「一票の格差」を是正しなければならず、そのためには「一票の格差」が拡大する原因になっている衆議院議員選挙区確定審議会設置法第3条第2項の規定、

選挙区の数は、一に、公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第四条第一項 に規定する衆議院小選挙区選出議員の定数に相当する数から都道府県の数を控除した数を人口に比例して各都道府県に配当した数を加えた数とする

いわゆる「1名別枠方式」を改め、人口に比例して都道府県ごとの選挙区数が配分されるようにした上で、区割り審で新たな選挙区割を勧告してもらい、それに基づいて公職選挙法の別表を改正する必要があるだろ常識的に考えて…と思うわけですが、昨今の情勢としては、「定数是正の法案を成立させてあれば、実際に区割りが改正されて『一票の格差』が是正される前に総選挙を行っても、『是正の努力を行った』ということで違憲にはならないんじゃね?」みたいな一部の政治家の皆さんの常軌を逸したご都合主義的な見解に引きずられて、上記の常識的な考えは無視される傾向にあるようです。

ところが、政治家の皆さんがあまりに常軌を逸しているので(そして報道機関の皆さんもその常軌を逸しぶりに基本追随なさるので)あまり注目されませんが、ここでの問題は

「『違憲状態の原因』とされた都道府県別の選挙区数配分を是正する法案が通っただけで、現に『違憲状態』である実際の選挙区割の改正が行われていないのに総選挙が実施されること」(←さすがにこれについては、横路衆院議長長谷部東大教授をはじめいろいろな人が指摘しているし、報道機関も触れている

だけでなく、

「今国会審議されている法案(0増5減)は、『違憲状態の原因』として指摘された『1名別枠方式』を実質的に廃止していない。むしろ実質的に温存しつつ、人口比例ではない議席配分を行っている」

という問題があり、この点が管見の限りほとんど見過ごされているので、あえてエントリを立ててみようかと思った次第。

まずは次の表をご覧いただきたい。

都道府県 2010国勢
調査人口
人口比例
選挙区数
(1名別
枠なし)
人口比例
選挙区数
(1名別
枠あり)
改正法
選挙区数
(0増5減)
現行
選挙区数
北海道 5,506,419 13 12 12 12
青森県 1,373,339 3 4 4 4
岩手県 1,330,147 3 4 4 4
宮城県 2,348,165 5 6 6 6
秋田県 1,085,997 2 3 3 3
山形県 1,168,924 3 3 3 3
福島県 2,029,064 5 5 5 5
茨城県 2,969,770 7 7 7 7
栃木県 2,007,683 5 5 5 5
群馬県 2,008,068 5 5 5 5
埼玉県 7,194,556 17 15 15 15
千葉県 6,216,289 14 13 13 13
東京都 13,159,388 30 26 25 25
神奈川県 9,048,331 21 18 18 18
新潟県 2,374,450 5 6 6 6
富山県 1,093,247 3 3 3 3
石川県 1,169,788 3 3 3 3
福井県 806,314 2 3 2 3
山梨県 863,075 2 3 2 3
長野県 2,152,449 5 5 5 5
岐阜県 2,080,773 5 5 5 5
静岡県 3,765,007 9 8 8 8
愛知県 7,410,719 17 15 15 15
三重県 1,854,724 4 5 5 5
滋賀県 1,410,777 3 4 4 4
京都府 2,636,092 6 6 6 6
大阪府 8,865,245 20 18 19 19
兵庫県 5,588,133 13 12 12 12
奈良県 1,400,728 3 4 4 4
和歌山県 1,002,198 2 3 3 3
鳥取県 588,667 1 2 2 2
島根県 717,397 2 2 2 2
岡山県 1,945,276 4 5 5 5
広島県 2,860,750 7 6 7 7
山口県 1,451,338 3 4 4 4
徳島県 785,491 2 2 2 3
香川県 995,842 2 3 3 3
愛媛県 1,431,493 3 4 4 4
高知県 764,456 2 2 2 3
福岡県 5,071,968 12 11 11 11
佐賀県 849,788 2 3 2 3
長崎県 1,426,779 3 4 4 4
熊本県 1,817,426 4 4 5 5
大分県 1,196,529 3 3 3 3
宮崎県 1,135,233 3 3 3 3
鹿児島県 1,706,242 4 4 5 5
沖縄県 1,392,818 3 4 4 4

現行の選挙区数は、2000年国勢調査での都道府県人口に基づいて「1名別枠方式」により小選挙区定数300を比例配分(1名別枠の時点で比例配分じゃない(固定配分47+比例配分253)ですが。ちなみに配分方式はヘアー式(最大剰余方式)。計算方法とかはググれ。)したものです。

「1名別枠方式」を維持したまま、小選挙区定数を今回の改正法と同じく295とし、2010年国勢調査人口で配分したものが「人口比例での選挙区数(1名別枠あり)」です。もし現行法のまま区割り審が仕事をした場合は、この都道府県別の選挙区数(法律には直接書かれておらず、国勢調査人口によって自動的に決定される)に基づいて選挙区割の変更が行われていたはずです。具体的には東京都で1増、大阪府広島県徳島県高知県熊本県、鹿児島県で1減となり、これらの都府県を中心に選挙区割の見直しが行われたのでしょう。ただし、これでは最高裁判決に従ったことにはならず、違憲の疑いが濃いということになります。

最高裁判決で求められているとおり「1名別枠方式」を廃止し、人口比例で小選挙区定数295の配分を行った場合は「人口比例での選挙区数(1名別枠なし)」のようになります。選挙区数が変動する都道府県の数は33に及びますが、これまでの配分方式は地方に過大な議席が配分されていた中選挙区制時代からの移行期における過渡期的なもので、もはや妥当性が失われている(だから普通に人口比例させよ)というのが最高裁判決ですから、仕方ありません。

さて、今回通りそうな「0増5減」は、この中のどれに近いでしょうか。表をみれば一目瞭然なとおり、「現行(2000年国勢調査人口による1名別枠方式での配分)」や「2010年国勢調査人口による1名別枠方式での配分」にそっくりです。

今回の改正法は、現行の衆議院議員選挙区確定審議会設置法第3条第2項の「1名別枠方式」の規定そのものは廃止していますが、その代わり「都道府県別の選挙区数」を法律で直接定めてしまうことで、実質「1名別枠方式」とほとんど変わらない議席配分でお茶を濁そうというものなのです。

しかも、たとえば2010年国勢調査人口を元に何らかの方法で比例配分した選挙区数を法律に書き込むのならまだしも、今回の「0増5減」は単に「現行選挙区数あたりの人口が少ない方から5県の選挙区数を1減らした」というだけで、どのような意味でも比例配分になっていません。

この、「具体的な定数配分を法律に直接書き込む」方式や、「議員定数あたり人口が少ない(多い)選挙区の定数を減らす(増やす)ことで一票の価値の最大格差を縮める」方式の弊害は、私たちが中選挙区制時代にさんざん経験してきたことです。中選挙区制時代は公職選挙法の別表で選挙区ごとの定数が直接規定されており、人口統計に基づいて自動的に定数が見直される仕組みがなかったので、人口減少によって人口比例なら1.5議席程度しか与えられない3人区の代議士が「定数を減らすなら国会に火を放つ」などと放言したりして、いつまでも「一票の格差」の是正がなされませんでした。また、定数是正が実際に行われる場合も、それは「違憲状態」と言われないために極端に定数あたり人口が少ない(多い)選挙区の定数をいじるだけにとどまり、全体として人口比例の議席配分がなされることはなく、地方に大幅に偏った議席配分は中選挙区制の終焉まで維持されました。

今回の改正法で小選挙区都道府県別選挙区数が法律に直接書き込まれたことは、最高裁判決の趣旨に沿わずにお茶を濁しているだけにとどまらず、この中選挙区制時代の弊害の再来を感じさせるものです。

まぁ、小選挙区制なんかをわざわざ採用している時点で(「一票の格差」が生まれやすい選挙制度であるだけでなく、そもそも議会に民意が反映されてないでしょ、それで本当に民主主義といえるの?という意味で)論外なので、こんなことは些細な問題、なのかもしれませんけど。


(2013.4.15追記)
このエントリとほぼ同趣旨でより詳細かつ正確な説明が、政治学者の菅原琢さんによってなされています。
このエントリで詳しく述べていない部分を中心に、特に重要と思った記述を引用してみます。(図表・グラフも豊富に使われていますが、そちらは引用しづらいのでリンク先でご覧ください。)

一票の格差と一人別枠方式について考える(1/3) 現行法下で懸念される場当たり的定数是正

「廃止」となった一人別枠方式は、現在でもまだ生き残っており定数配分の基準となっている。
条文で廃止されているものの、現行法で規定されている都道府県別定数配分は一人別枠方式による配分を由来としているため、事実上、一人別枠方式は生きていることになる。しかも、13年前の人口にもとづいた配分のなかに、である。
この0増5減案が出てきた2011年5月当時から一人別枠方式が事実上存置されている点、2000年時人口での配分である点を筆者は指摘してきたが、ねじれ国会などの政局のなかでまともに議論されることなく0増5減の法改正は行われてしまっている。しかし、今回の一連の違憲判決のなかでとくに札幌高裁の判断がこの点に触れており、新聞の社説等でも取り上げられている。

現行法では、減らさなくてもよかった県について定数を削減しているのである。さらには、東京は本来増えるべきであったが増やしておらず、神奈川と大阪は人口が逆転したにもかかわらず定数は大阪のほうが多いままという逆転現象も生じている。一人別枠方式で配分しなおしたものと比較しても不合理な点が目につく議席配分を、現行法の附則の規定では行っているのである。

改正後の区画審設置法では第3条第2項が丸々削られているが、ここに規定されていたのは一人別枠方式だけではない。区画審が、どのような基準にもとづいて定数を配分すべきか、ということが規定されていたのであり、その方式が一人別枠方式だったのである。したがって、区画審法第3条第2項の削除によって、定数配分の具体的な基準がなくなり、2倍以内という一票の格差の上限以外の数値的基準がなくなったと言える。
この意味は非常に大きい。2倍という上限さえ満たしていれば、どのような配分でも法律上は許されることになったわけである。じつは、裁判所によって否定された一人別枠方式という議席配分方法は、各都道府県への配分を自動化することで、こうした政治の恣意を一定程度排除する機能を持っていたものである。

なかには「2倍という基準が守られればよいのではないか」と考える人もいるかもしれない。しかし、この2という数値目標が一人歩きすると、むしろ定数不均衡が放置される状況を生む可能性が高い。このことは、かつての衆院中選挙区時代の「場当たり的定数是正」を見れば明らかである。
この事実から考えると、一票の格差最大値に着目する定数是正は、定数不均衡を抜本的に解決せず、議員一人当たり人口が最多と最少の一部の地域だけ調整して一定値に収めるような安直な「是正」に終始する可能性が高い。
たとえばある県への配分が1.9倍の状態であったとしても、2倍以内という基準の範囲内であるため是正されず、3議席増やすべきところを1議席増に留めるなどということが起こるだろう。時間が経つにつれ、議員一人当たり人口の最大と最小の近辺に多くの都道府県が集まることになる。

一票の格差と一人別枠方式について考える(2/3) 比例配分の方法と比較

都道府県別での一票の格差を扱う場合、各都道府県の値の大きさだけに着目してしまいがちだが、同じ一票の軽さ/重さであっても、人口によってその影響を被る人の数が異なることは忘れられやすい。たとえば、人口規模の小さな県の一票の格差にこだわりすぎると、人口規模の大きい都道府県の多数の人々に損を被らせるようなことが起こりうる。

一人別枠方式には特に利点がないことがわかる。小県に守るべき特別な利益があるという場合には選択すべきだが、そのように考える余地はないだろう。
ここで有利条件を生み出す人口規模は、都道府県という境界の中でたまたま小さく区切られたために発生したに過ぎない。人口が最小の県である鳥取県の人口は、2010年国勢調査で58万9千人であり、政令指定都市以外で最大の人口規模を持つ市である千葉県船橋市の人口60万9千人よりも少ない。同市は単独でひとつの選挙区・千葉4区を構成し、一票の格差がもっとも軽い選挙区となっている。仮に船橋市が県として独立すれば、一人別枠方式の下ではそれだけで2議席が与えられることになる。東京都が湾岸、下町、山の手、都下の4つに分かれていたら、それだけで3議席増えることになる。
たとえば農業従事者の利益を守るべきという話であれば、人口規模も農業の生産額も大きい千葉県などの農家も守られるべきだろう。議員の数は面積も考慮すべきという奇天烈な意見もあるが、仮にそうであるならば、まず北海道が優遇されるような配分方法を採用するべきだろう。たまたま境界で区切られた範囲に居住する人口が多かったり少なかったりによって定数が異なることに、合理的な理由はない。

この問題に関心を持たれる方は、ぜひ参照してください。