idトラバへのお返事。

id:Mikagura

文章の殺陣...へのお返事です。

仔細にお返事しようとすると枝葉の論点に迷い込んでしまいそうなので、ばっさり切って(こちらが考えるところの)要点のみ簡単にお返事いたします。
id:genovese33さんあてにTwitterで書いたことと重複してしまう部分もありますが、ご容赦ください。

(1)自分らが社会的に不遇だから排外主義に走るのだ、と自ら主張するような人達は、自分のやっていることがまぎれもなく差別であること、そして差別は一般的に悪いことであることはわかった上でやっているのだと言えます。
つまり、悪いと知らずにやっているのではなく、悪いと知っていてやっているのですから、もし彼らの相手をするとしても、それは知識を提供したり論理的に説得すればわかってくれる筈だというような「欠如モデル」に基づく対応ではなく、「悪いと知りつつ差別する」というその態度自体が悪い(これがhokusyuさんがよくいう「たましいが悪い」でしょうか)、という言い方にならざるを得ないと思います。
もし、これを「クズだと切り捨てている」とおっしゃるなら、ではどんな対応があり得るのか、相手には通じないと知りつつ知識の提供や論理的な説得をただ繰り返して消耗していけばいいというのか、と思ってしまいます。(個人的には、そこまで継続的にそうした人の相手をしたことがあるわけでもないので、どれほど消耗するものなのかはわかりませんが。その意味で、ネットにもぐら叩きのように沸いてくる歴史修正主義者などに根気強く対応しておられるような方には敬服してしまいます。)

(2)もし彼らが、社会の矛盾やそこからくる自らの不遇のゆえに排外主義に走るのだとして、左翼としてやるべきことは、そうした社会を変えることを通じて結果として彼らのそうした態度を変えることであって、彼らを一人一人説得して態度を変えさせることではないと思います。
上部構造(個々人の持つイデオロギー)を直接いじるのではなく、下部構造(個々人の物質的な生活条件)を変えることで上部構造も変えていく、というのは、左翼の本道だろうと思います。ちょっと古くさいぐらいに。
つまり、「たましいが悪い」のを変えるのに最も有効なのは、そのたましいの在り方を規定している物質的(経済的・社会的)諸条件を変えることだとするのが、本来の左翼的な考え方だ、ということです。

(3)基本的には以上で終わりなのですが、Mikaguraさんのご指摘は、「そもそもそういう『たましいが悪い』連中こそ、左翼が真にオルグすべき対象じゃないのか?」というところにもあると思います。確かに「社会を変える」と言っても、変革主体がいなければ始まらないわけで、オルグは重要でしょう。
ただ、そこで回心をもたらすのは、必ずしも「キミの辛い気持ちはわかる、わかるよ〜」と抱擁してあげることではないのではないか、むしろ、「問題はお前自身のたましいのありかたにあるんじゃないのか?」とはっきり直面させることで、すぐには無理でもいつか目が覚めるということもあるのではないか、と思えます。
その意味で、「差別することに居直るお前はクズだ」という非難は、単に切り捨てているのではなく、何らかの呼びかけの契機をもっていると言えるのではないか。私としては、今のところそのように考えています。

不充分な点だらけかもしれませんが、ひとまずこんなところで。